【概要】
文学全集の一冊として編纂された短編集。
・蠅…馬車に乗るために集まった人々。馬に止まる一匹の蝿。走り出した馬車は御者が操作を誤り崖下に落ちる。蠅が馬の背中から飛ぶ。
・マルクスの審判…予審判事は気に食わない容疑者から自白を引き出すことに成功するが、それが自分の憎むマルクスの思想を意識しすぎる行為だと考え、自白をなかったことにする。
・頭ならびに腹…満員の急行列車の中で、小僧が歌を歌っていた。線路の故障で列車が止まっても小僧は歌うのをやめない。急行列車に乗っていた人々は別の電車に乗るためいなくなる。線路の故障が直り、急行列車は再び走り出す。小僧は歌い続けている。
・御身…姪の幸子はどんなに可愛がっても自分に懐かない。腹を立てた叔父は姪に冷たく当たるがまだ赤ん坊の姪はそんな叔父の気持ちに気づかない。叔父は姪にとって壁と同じものだ。
・ナポレオンと田虫…ヨーロッパ全土を征服し、ロシア制圧に乗り出そうとしていたナポレオンの腹には田虫があった。ナポレオンにとって田虫は平民の象徴だった。自分の出身を憎んだナポレオンは、より確かな力を求めてロシア制圧に向かった。
・春は馬車に乗って…病に冒された彼女は、檻の中の理屈を持って看病する自分を責める。二人は衝突と和解を繰り返すが、次第に同じ哀しみによってその両方をなくしていく。
・花園の思想…彼女の療養する病院には美しい花園があった。彼は花園が彼女を生かしていることを喜ぶが、苦しませているとも考える。彼女の死後、彼は花園に向かう。
・日輪…敵国に両親と夫を殺された卑弥呼は、男たちを操って敵国を滅ぼし、邪馬台国を建国する。
【感想】
青空文庫で読んだ『蠅』と『笑われた子』がとても面白かったので地元の図書館で紙の本を借りた。
電子書籍より仮名遣いが古くて読みにくいことこの上ない… そして、上記二編と違って思想的な話ばかりで難しい難しい!
一応概要まとめたけど、間違っている気がしてならない。特にマルクスの審判。
でもマルクスの審判とナポレオンと田虫は難しいけど面白かったです。
日輪の古代用語は勉強になりました…。